- 2011-12-8
- NEWS
12月9日公開の映画『リアル・スティール』は、先日、来日した天才子役ダコタ・ゴヨ君とヒュー・ジャックマンによる、父と子の絆が感動的なアクション・エンターテインメント巨編。
映画ではかなりダメダメな元ボクサー、チャーリーを演じているヒューですが、彼が自身の信条や仕事に対する姿勢などを、真摯に語ったインタビューが届きました!!
© KaoriSuzuki
Q:あなたは意識的にこういったハリウッド超大作映画出演を希望していたのですか?
A:いや、そういうわけではないよ。手元に届いたこの映画脚本を読んで気に入ったんだ。ただし、ショーン・レヴィが監督として参加したことで、この作品にさらなる力強さが加えられたことは事実だね。これが大衆向けの大作になるということは分かっていたけれど、僕のアクションに頼った作品ではない。むしろその逆だね。僕がぶちのめされるシーンが1つあるけれど、それ以外は、生身の僕がアクションをするシーンはないんだ。
Q:ショーン・レヴィ監督と組んだにはこれは初めてだと思いますが、彼のことを一言で表現するとしたら、どんな言葉になりますか、またその理由も教えてください。
A:「驚異的」だね。彼とは真の友人同士になれたけれど、この世界でそういうことはめったにないんだ。僕が本心から友達だと思える人の数は、おそらく片手で数えられる程度さ。彼はまるで神のようにどこにでも遍在するね。何が起こっているのかをプロデューサー的な視線からすべて把握しきっているよ。
実際のはなし、彼と組んだこの仕事が終わって寂しいんだ。ああいう人材は希少だからね。あそこまで有能に仕事をこなし、しかもあそこまで良いヤツっていうのは、なかなかいるもんじゃないよ。
© KaoriSuzuki
Q:俳優として、このキャラクター、チャーリー・ケントンの人間性のどういった側面に惹かれましたか?
A:自分にとってこの世は不公平にできていると考えるようになった人物を演じることに深い興味を持ったんだ。様々な部分で自分自身に失望して、自分のことを徹底的に卑下している。自分なんか何をやっても負け犬だと感じている彼が、今、もっとも嫌悪している世界で生計を立てている。屈辱を味わい失望した世界でね。ある時点から彼は自分を取り巻く世界に対して無反応になっていたんだ。
彼の心の葛藤は演じ甲斐のあるパワフルなものだと思う。あらゆる意味で行き詰まりを感じている今の状況から抜け出ようとあえいでいるんだ。でも実は、自分を取り戻せるチャンスを得たということが一番パワフルなんだ。チャンスを得て彼は怯えるのさ。なぜなら、今では失うことの辛さを知っているからね。もしも失敗したら、その後どうやって生きていけばいいんだと考えてしまうんだ。
Q:ご自身の人生において、勝つことと尊敬されること、どちらをより大切にしていますか?
A:かなりの負けず嫌いだから、勝つにこしたことない。でも僕にとって一番大切なのは「試しにやってみること」なんだ。「試しにやってみる」とか「とりあえず、やってみよう」というのはオーストラリアではよく使う言い回しだよ。オーストラリアの人たちは、「本当の後悔はやらなかったことに対する後悔だけ、たとえ失敗しても、やってみたことに対して最終的に後悔なんかしないものだ」という信念を持っているんだ。
だから、とにかくやってみる。自分にしても他人にしても、試しにやってみようという精神を僕は尊敬しているんだ。よかれ悪しかれ、うまくいくかどうか分からなくても、とにかくトライしてみる。そうやって突き詰めて考えれば、尊敬されることの方が、うまくいくかどうか、勝つか負けるかということよりも、大切だということになるね。
© KaoriSuzuki
Q:あなたにとって名優の定義はなんだと思いますか?
A:観客たちが、その役者の演じている役柄を実在する人物だと信じてくれること、うっとり見入ってくれること、物語に真実味を感じ、その役者から何かを感じ取ってくれること、そういうことが出来る役者が名優なんじゃないかな。
Q:マスコミやビジネスの存在を前に、シニカルにならずに純粋さを保つのは難しくありませんか?
A: シニカルさから自分を守ることが必要だね。映画産業をシニカルにとらえることも出来れば、自分が興味を持っている分野で仕事ができる素晴らしい機会ととらえることもできる。結局どんな仕事をしていても不満が出てくるものさ。そういう気持ちになること自体に注意する必要があるんだ。
シニカルな態度というものは、大抵の場合、落胆から発生していると思う。今回僕が演じた役柄にも言えることだけれど、自分の期待通りにならないと、その苦渋が心に入り込んで、色々なものをシニカルに見てしまうことになる。実は失敗することへの恐怖感なのだという、本当の姿を見ることができなくなってしまうんだ。
ヒューが演じるチャーリーは最初は何をやってもダメな八方塞がりな状態。そこにマックスが現れ、ATOMというポンコツロボットを手に入れることになり……。どれも最初は「チャンス」とは思えないのですが、3人が結びついたことで、いろいろなことが変わりはじめる。ロボットアクションもおもしろいのですが、そのドラマが泣けるんです!! ダメ親父なチャーリーですが、ヒューの分析を読んで、ナルホド! と思いました。
お見逃しなく☆
『リアル・スティール』
12月9日(金)全国ロードショー!
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト