- 2025-2-17
- ENTERTAINMENT
- アイム・スティル・ヒア
まもなく開催される第97回アカデミー賞(3/2※現地時間)では、ブラジル映画として初の作品賞に!そして主演女優賞・国際長編映画賞とあわせて合計3部門にノミネートされた、名匠ウォルター・サレス監督(『セントラルステーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』)の映画『I’m still here』の邦題が『アイム・スティル・ヒア』として、2025年8月に日本公開されることが決定した。
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1970年代、軍事政権下のブラジル。元国会議員のルーベンス・パイヴァとその妻エウニセは、5人の子どもたちと共にリオデジャネイロで穏やかな日々を過ごしていた。だが、スイス大使誘拐事件を契機に、国の空気は一変する。抑圧の波が広がる中、ある日、ルーベンスは軍に逮捕され、そのまま連行された。愛する夫を突然奪われたエウニセは、必死にその行方を追う。しかし、その過程で彼女自身もまた軍に拘束され、数日間にわたる過酷な尋問を受けることとなる。極限の状況の中でなお、彼女は沈黙を貫き、夫の行方を捜し続けた。自由を奪われ、愛する人の消息も知らされぬまま、それでもエウニセは諦めなかった。夫の名を呼び続けたその声は、やがて静かに、しかし確かに、歴史を動かす力へと変わっていく──。
1998年、アカデミー賞2部門にノミネートされた『セントラル・ステーション』で世界的な評価を確立したサレス監督。静寂を引き裂く暴力の影と、それに抗う人々の魂を見つめ、映画という表現を通じて彼らの記憶を蘇らせることに注力してきたが、今回も彼は、エウニセ・パイヴァの静かでありながらも圧倒的な闘志を描き出し、彼女がどのようにして自らの喪失と絶望に打ち勝ち、時代の潮流に逆らってまで立ち上がったのか、その姿を、美しくも力強い映像で永遠に刻む。
元国会議員であったルーベンス・パイヴァが軍事政権によって誘拐されるという、実際に起こった事件をもとに映画された『アイム・スティル・ヒア』。原作となったのはルーベンス・パイヴァの実の息子であり作家マルセロ・ルーベンス・パイヴァによる書籍「Ainda Estou Aqui』」(日本未発売)だ。幼い頃、パイヴァ家と親交を持っていたウォルター・サレス監督にとっては、自らが見聞きし、体験してきた歴史と向き合う重要な作品でもあり、この物語は単なる歴史の再現ではなく、個人的な記憶と深く結びついた16年ぶりのブラジル作品となった。
本作でエウニセを演じるのは、本作で第82回ゴールデングローブ賞主演女優賞を獲得し、第97回アカデミー賞主演女優賞ににノミネート!サレス作品の常連でもあるフェルナンダ・トーレス。彼女の一挙手一投足が、夫を奪われた女性の慟哭と決意を滲ませ、観る者の心を深く揺さぶる。また、フェルナンダ・トーレスの実母であり、サレス作品『セントラル・ステーション』に出演したフェルナンダ・モンテネグロがエウニセの老年期を演じ、その眼差しが、過去と現在、母と娘、二人の女優を結びつける。
奇しくも27年前、フェルナンダ・モンテネグロは『セントラル・ステーション』でブラジル人女優として初めてアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、歴史を刻んだ。95歳となった今も、その道を切り拓いた彼女の意志は、娘フェルナンダ・トーレスによって受け継がれ、同じウォルター・サレス監督のもとで新たな歴史を紡ぐ。
第81回ヴェネツィア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞。さらに、第97回アカデミー賞では、ブラジル映画として史上初めて作品賞にノミネートされ、主演女優賞、国際長編映画賞を含む3部門に名を連ねた。本作は、世代を超え、家族の絆と個人の闘いが歴史の中でいかに響き合うのかを描いた壮大な叙事詩でもある。
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『アイム・スティル・ヒア』
2025年8月ロードショー
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