- 2012-2-17
- NEWS
3月1日公開の映画『ヒューゴの不思議な発明』。そのPRのためにマーティン・スコセッシ監督が来日!! 16日、記者会見が行われました。
記者会見の冒頭には女優の小雪さんが登場し、監督に花束贈呈。出産後、初めての公の場だったそうです。
小雪さんは「この作品はお子さんと一緒に見ても、デートでも。いろいろな方が現実を忘れて、スコセッシ監督の魔法の世界に陶酔できると思います」とコメント。
スコセッシ監督は「私もこれは子ども向きになってしまうかなと思ったときがあったのですが、作り始めたら誰にでも楽しんでもらえる作品だと気づきました。年齢でいえば7・8歳から……108歳ぐらいまで(笑)。とはいえ、作っているときは、子どもの頭のなか、自由な思考の中に入り込むのが重要だったんですよ」と答えていました。
その後、監督単独のQ&Aがスタート!!
Q 今回はアカデミー賞で最多11部門でノミネート、日本でも大変期待が高まっている作品です。そういった状況に対してどうお思いですか?
スコ監督:大変興奮しています。というのも、これは私にとって特別な作品で、今まで作ってきた作品とも違い、とてもパーソナルなものなのです。私には歳をとってから生まれた、今12歳の娘がおりまして、もっと年上の娘も2人いるんですが。歳をとってから子どもをもうけますと、いろいろな経験をします。この12年の間に、自分の生活、仕事にもその経験が深く織り込まれて関わってきます。子どもや彼女の友人の思考や考え方、観点からとても影響を受けています。そうした経験は、私のこの世界に対する考え方をより自由にしてくれました。そして子どもの頃のように絵を描いたり、それらを使って物語を伝えたいというクリエイティブな衝動に立ち返ることができました。仕事をするには成熟した大人であることは重要ですが、ピュアなクリエイティブな衝動は阻害されてはいけない。妻から、一度でいいから、娘のための作品を作ってみたらと言われましたし。
Q 3Dの撮影で気を配った点は?
スコ監督:3Dにはずいぶん前から夢中になっていたんです。立体にすることで観客の頭の中にいろいろなものを提案できます。いろいろテストをしてみたところ、俳優を前に出すようにすると観客から手が届くような感覚になり、人間が動く彫像のようになります。実際、私は作品の設計を3Dでやっていますから、多くのショットも3Dを想定して作っています。3Dは単なる仕掛けとも言われますが、むしろ自然なことだと思います。今、私たちのまわりにも音があり、奥行きがある。物語を伝えるのに奥行きを与えることができます。作品自体が3Dに合っていたと思います。また撮影監督のボブ・リチャードソンが雪や空気中のほこりを効果的に使ってくれて、スノードームのような世界を作ることが出来ました。
Q 主人公のヒューゴというキャラクターは監督ご自身の投影でしょうか? 子ども時代の映画との出会い、思い出は?
スコ監督:自分では気づかなかったんですが、妻やプロデューサーから指摘され、ヒューゴと似ていると気づきました。私は3歳のときからぜんそく持ちでスポーツはダメ、植物にも近寄れず、動物にも触ってはいけないと言われて育ちました。また、労働階級で読書をする家庭でもなかったけれど、映画には行きました。父親と、1947年、52年のビリー・ワイルダーやジョージ・スティーブンスなどの本当に素晴らしいアメリカ映画を一緒に見たんです。それが父親との絆となっているところが共通していることです。当時の私は、西部劇に夢中でした。広い場所に山や木々があり、馬やカウボーイがいるという、ふだんの自分には体験できない世界です。また自分は父親、家族との絆が映画によってはぐくまれたので、ヒューゴにも似ている部分があると思います。
Q 映画が発明されてから今まで生き残っている理由とは? 今、映画を作る人々にとっての大きな制約とは?
スコ監督:映画が発明された頃は,産業革命などがあって世界そのものが変わり、技術的に発展した時代。今は、映画というのは、認識されないようなものになっていて、自分はそれが悪いことだとは思っていません。金銭はいつの時代も制約ではあったと思います。お金によって機材、人材は変わってきますし、障害にはなります。でも物語の伝え方は自由になっています。私は年寄りなので間違っているかもしれませんが、今はテクノロジーが発展しているので、映画はあまり資金繰りを気にせず作ることができるのではないか、配信もインターネットなどがありますし。先ほど、私が言った、映画が認識されなくなってきているというのはそういう意味で、新しい方法があるのではないかということです。とはいえ、大きな予算で作る映画もなくならないでしょう。そして大きなバジェットで映画とつくるとなれば、大きなリスクを背負うことになりますし、自分自身は新たな戦争に挑むということになります。
Q 監督が映画を作る上で大切にしていることを教えてください。
スコ監督:私は個人なつながりがないといけないと思っています。その意味では私は監督ではないと思っています。本当の監督はどんな題材、様式、ジャンルでも上手く撮るのでしょうけれど、私はそうではない。「ヒューゴ」も自分が子どもの頃描いた絵、昔見た「マジックボックス」という、映画の発明についての作品なんですが、その映画に夢中になったという、つながりがあります。また、1つの作品にいろいろな要素が共存できるのか? 自分がもっとも描きたいことはタフな世界なのか? それとも愛について? なにをメインにするかということがありますが、「ディパーテッド」や「シャッターアイランド」といった種類の作品は感情的にもモラル的にもいきつくところまでいったので、その先はもうない。そこでまた1からやり直し、今回、「ヒューゴ」という作品になったわけで、この作品は、善し悪しは別にして自分にとっては祝福なんです。
スコセッシ監督は、「歳をとると〜」ということをしばしば言っていますが、会話の中に人物名や作品名、年代などがスラスラ出てくるのでビックリ。脳年齢はかなり若いと思いました!! 映画もとっても楽しそう!! 早く見たい!!
© 2011 GK Films. All Rights Reserved.
『ヒューゴの不思議な発明』
3/1(木/映画の日) TOHOシネマズ 有楽座他、全国ロードショー!(3D/2D同時公開)
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
公式サイト