- 2012-7-3
- NEWS
©DISNEY / PIXAR .All Rights Reserves.
7月21日から公開の映画『メリダとおそろしの森』は、母と娘の物語を通し、勇気と感動に満ちた“家族の絆”を描いたディズニー/ピクサーの最新作。アメリカでは6月に公開され、オープニング興行収入初登場第1位を記録。日本語吹き替え版では、主人公の王女メリダの声は大島優子さんが担当しています。
そんな話題作の監督の1人マーク・アンドリュースさんとプロデューサーのキャサリン・サラフィアンさんが来日し、大島優子さんと来日記念イベントに登場したのは、以前ご紹介した通り。その際、プロデューサーのキャサリンさんにインタビューする機会がありましたので、そのときの模様をご紹介!!
STORY
森を愛し、家族を愛するお転婆な王女メリダは、王家の伝統に則った結婚を迫る母エリノア王妃といつも口論になってしまう。互いに深い絆で結ばれているものの、ささいなことですれ違う母と娘。ところがある日、“森の魔法”によって母は王国で最も恐れられている存在である熊に変えられてしまった。そして、三つ子の弟たちまでも…。恐ろしい熊を仕留めようと狩りにくりだす男たち。しかも、2日目の夜明けを迎えると母は姿だけではなく、心まで熊になってしまうというのだ。
森の魔女から“魔法”を解く鍵は森の中にあることを聞きだしたメリダは、鬼火の導きで森の奥深くへと進んでいく。だが、そこで彼女は自分の本当の運命を知ることになる…。
キャサリンさんは、1994年PIXAR入社。『トイ・ストーリー』でプロダクション・コーディネーターをつとめ、以来、ジョン・ラセター、ピート・ドクター(『モンスターズ・インク』など)、ブラッド・バードといった名だたる監督、さらにスティーブ・ジョブズとも直接一緒に働いており、創世記からのPIXARの歴史を全て経験している経歴の持ち主です。
Q 『メリダとおそろしの森』の主人公メリダは王女でありながら、現代的なキャラクター。このお話を映画化したいと思った理由は?
A メリダのキャラクターはブレンダ・チャップマンという、監督の1人の実体験に基づいています。彼女の娘が6歳だった頃なんですが、本当に気が強くて母親の言うことをきかないため、ブレンダはもうお手上げ。ティーンエイジャーになったら、一体どうなるんだろうって言っていたものです。そこから生まれたキャラクターには、私自身も母親ですし、さらに自分と母、その母との関係をも思い起こさせるものがありました。自分の経験上、共感できるストーリーラインに惹かれたというのが理由のひとつですね。なにせこの映画には完成まで6年かかっていますので、それだけ長期間、ひとつ企画に情熱を傾けるにはそれなりに思い入れのあるトピックや主題でないと難しいのです。
Q メリダがディズニー/ピクサー初めての女性主人公であることは、完成まで6年かかったことと関係ありますか?
A いいえ。メリダが女性だからということは関係ありません。あくまでストーリーありき、キャラクターありきで、今回たまたま女の子だっただけ。とても興味深い、ユニークな主人公を作るというのが第1目標でした。女の子であることにこだわってしまうと、女の子だからこうだ、男の子だからこうと観客がイメージすることに沿ってキャラクターを展開させなければいけなくなり、的が外れてしまうんです。いちばん大変で年月がかかったのは、ストーリーを自分たちが納得いくまで練り上げることでした。他のスタジオと違い、ピクサーの場合、脚本といっても第1稿は本当にタネみたいなものでそこからどんどん変化していき、最終的には全く違うものになるというパターンなので、時間がかかるんです。
Q メリダの髪の毛など、映像のディテールにこだわったことも時間がかかった理由のひとつでは?
A メリダの髪の毛は彼女の自由奔放で独立心旺盛でワイルドな性格を反映させたもので、最初から決めていました。個性的なところを際立たせる意味で、赤毛のカーリーヘアにしたんです。テクニカルスタッフは頭を抱えていましたよ。そのくらいむずかしいんです。メリダのヘアをプログラムするだけで2年ぐらいかかっています。さらにヘアに動きをつけるために何年もかかり、風に吹かれたり、濡れたりというシーンに対応するためにも、長い時間がかかりました。でももしメリダがストレートヘアやショートヘアだったら? まったく違うキャラクターになってしまったでしょう。
Q ではプロデューサーとして、キャサリンさんが最も大変だったことは?
A プロデューサーというのはクリエイティブなプロセスをすべて管理する仕事なので、とても大変なんです。特にこの作品は6年という長期プロジェクトでしたし、ピクサーという会社はとにかく臨機応変なので、2〜3日ごとにいろいろなことがどんどん変わっていく。そのたびにすべてを修正していかなければなりません。もちろん明日までにこれをしようといった目標はつくるのですが、なかなかその通りにはいきません。でもそれにいちいちカリカリしていたら大変ですから、だんだんと変化に対してオープンになっていきますね。そうでないと物事が進みませんから。最終的な目標はあくまで今あるストーリーをもっとよくすること。最高のストーリーを最高のカタチで伝えるためには、どんどん手を加えていく。労力も時間もかかるけれど、その姿勢が大切で、最優先事項であることを学びましたね。
Q メリダの日本語吹き替えは大島優子さんが担当していますが、彼女と会った印象は?
A ユーコはとてもチャーミングでおもしろいところもある魅力的な人。会見で会ったとき馬に乗って登場したのでちょっとビックリしたけど、とても活発な印象で、馬に乗った彼女を見たときは、メリダだわって思いました。
Q 映画の最後にスティーブ・ジョブズへ捧ぐという言葉がありましたが、スティーブ・ジョブズと一緒に働いた経験を通して、彼から学んだことは?
A 彼から学んだことは、常にもっといいものを作るという姿勢です。「クオリティこそ最高のビジネスプランだ」という彼の有名な言葉がありますが、それをモットーにしていて、彼は映画本編だけでなくグッズ、ポスターなどすべてに最高のクオリティを目指せと言っていました。みんながビックリするような、あり得ないくらいいいモノをつくるために努力を惜しまず、あきらめない。仕事は毎日、何らかの選択の連続ですよね。スタッフの人選からなにから何まで、常に何かを選んで、決めていく……。人とのかかわり方、物事の選び方など彼から学んだことは大きい。自分のキャリアを考えても、彼のもとで働いたトレーニングがなければ今の自分はないと言っても過言ではないと思っています。
『メリダとおそろしの森』
7月21日(土)ロードショー 2D・3D同時公開
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
公式サイト