- 2016-3-23
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3月25日より公開される映画『砂上の法廷』。キアヌ・リーブスが真実を追究する弁護士を熱演し、事件の鍵を握る被告人の母親をレニー・ゼルウィガーが好演。監督を務めるコートニー・ハントのオフィシャルインタビューが到着しました!
©2015 WHOLE TRUTH PRODUCTIONS, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
Q:本作に出会った経緯を教えてください。
A:もともと長く親交があるニコラス・カザン(エグゼクティブ・プロデューサー)とリチャード・サックルという人が一緒にやっていた企画でした。送られてきた脚本を読んだら面白かったし、私も弁護士の資格を持っており、夫も弁護士として法廷に立っているので法廷劇に興味がありました。こういう風に撮りたいというイメージも彼らと同じでしたので、是非一緒にやりましょうという感じで決まりました。
Q:本作を作るにあたって、何かイメージのようなものはありましたか?
A:最初のコラボレーションでは『チャイナタウン』のようなムードをこの映画に持ってほしいと話しました。レニー・ゼルウィガーが演じたキャラクターには『チャイナタウン』のフェイ・ダナウェイやファム・ファタールのように、果たして良い人なのか悪い人なのか、観客が見ていても分からない、そういう雰囲気を出したいと思いました。映画的なアプローチを考えていたからこそ、裁判でのシーンを少しモノクローム的な色彩にしているんです。その部分が『チャイナタウン』や『評決』などといった作品へのオマージュにもなっていますし、色彩設計も明るくしすぎず、抑え目にしています。あとは、私はこの作品に限らず、映画をリアルに感じてもらいたいという常々思っているので、裁判中に法廷内の人々が飽きてしまったその瞬間でさえも描きたかったのです。色々なことが起きている、そういう法廷内のリアル作りたいと思い、そういったことを最初にたくさん話し合いました。
Q:本作の撮影でこだわった部分は?
A:とにかく今回は、全ての面でリアリティを追及しました。特に法廷のシーンは、テレビドラマでやりつくされた感じがあるため、映画で見せてもなかなかリアルに感じてもらえないのではないかと思いました。だからこそ、革新的な方法をとるしかないと思いました。例えば、映像がモノトーンに近くなる瞬間を作ったり、実際の法廷の光そのままの照明にしたり、そういうことを恐れずに描きました。
実際の裁判というのは、極端につまらないのと、もの凄くドラマチックなものの2つに分かれます。2時間ずっと見ていても何も起きないこともあれば、始まって5分でひどいトラウマを抱えた人が証言台に上がる場面に出くわしたりします。あるいは、その5分で誰かが死刑になり、人が命を落とすような瞬間に立ち会ってしまうということだってあります。法廷というものの真実に迫りたい、そこで起きるリアルな感情というものに迫りたいと思ってこの映画を作りました。テレビでよくある、段階を踏んで進行していき、パーフェクトなタイミングで皆がすごくドラマチックなセリフを口にするというような法廷ドラマではなく、今まさに進行している裁判という雰囲気を出そうと思いました。だからこそ、瞬間瞬間に起きていることに対して、法廷内にいる人たちが「次はどうしよう?」と考えているように見せなくてはいけませんでした。また、今回は人の命が奪われた犯罪が裁かれているので、失われた命というものを背負って皆が法廷に立っているということは絶対に忘れてはいけないことだと思いました。最も避けなければならないのが、裁判の進行、段階だけを描き、人の命が懸かっているということが忘れられてしまうことだったからです。
Q:本作にはフラッシュバックが多用されていますね。
A:今回すごく重要だったのは、フラッシュバックで見えていることは全て本当に起きていることだと観客に思わせることでした。フラッシュバックで全てが描かれていることもあれば、寸止め的なところもあるわけですが、証言台に立っている人たちは嘘をついているかもしれないが、フラッシュバックで描かれていることは事実であるという風にこだわっているのです。
Q:脚本には監督もコミットされましたか?
A:監督というのは、脚本がリライト、開放されていく導きをおこなわないといけないのです。今回も、撮影中に必要な形、場所まで、脚本が開発されるように導いていくのが自分の仕事でした。やはり書かれたものが視覚的な世界になったとき、リアリティが感じられるかというと、それはまた別なので、ちゃんと見られても信憑性があるものにするのが自分の仕事だと思っています。今回の脚本に関しては、プリプロ中にあるプロデューサーがニコラス・カザンが書いたストーリーから乖離させてしまったのですが、私はニコラスの書いたストーリー、キャラクター、最初の設定、話のセットアップ、ストラクチャーがすごく気に入っていたので、それにより寄せようとしました。
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Q:キアヌ・リーブスのキャスティングはどのような経緯で?
A:最初に決まっていた俳優が外れたあと、この役に興味を持ってくれた俳優が何人かいました。私自身、たくさん弁護士を知っており、最も弁護士としてリアルに感じられるのがキアヌでした。もちろん髪も切って、無精ひげも剃ってもらわなければいけないけれども、ラムゼイに最もはまるのは彼だと確信していましたし、うまくいったと思っています。
Q:レニー・ゼルウィガーのキャスティングの経緯は?
A:この役にはすぐに彼女が浮かんだので、他の女優さんのことは一切考えませんでした。映画の舞台はニューオーリンズなのですが、彼女は南部育ちですし、そうした資質を持っていると思いました。あとこれは、魔法のような資質なのですが、彼女は脆さとリアルさを持ち合わせていて、このキャラクターにピッタリでした。彼女が演じたキャラクターは、誇張されたトラウマを持ち、非常に張り詰めた緊張感の中にずっと置かれています。だけど、人としてきちんと機能もしていいて、彼女ならそのニュアンスをありきたりにならずにリアルに演じられると思いました。とてもユニークな存在感と才能を持った女優でもあるので、彼女だったらできると思ったのもあるんだということですね。
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Q:監督からみたレニーの魅力とは?
A:レニーはすごい強さとすごい脆さの両方を持っていて、それがこのキャラクターの核でもあったと思うし、物語の中で彼女は全てが崩れ落ちてしまうような側面と、何があっても崩れない強さという2つの側面を見せなければいけなかったんです。彼女はそれを演じられることができるのです。レニーはそういう演じ方が出来る稀有な女優さんですし、読めない女優がいたということが面白かったです。カメレオンのように、ドラマもコメディもでき、観客の共感を誘うこともできる。本当に今までで彼女ほど最高な女優には会ったことがありません。
Q:キアヌとレニーに関して撮影中の印象的なエピソードはありますか?
A:とにかくキアヌはこの撮影中、ずっとレニーが素晴らしいとスターを見るような目で彼女を見ていました。だけど、レニーのほうはキアヌがそういう風に自分をすごいという目で見ていることに全然気づいていなかったんです。いろいろなことをキアヌが言っていたりするんだけど、全然気がつかないくらい、とにかくレニーは謙虚でした(笑)。接していると、本当にオスカー女優だということすらわからないんです。その瞬間瞬間を生きている、そういうことを気にしないで生きているというところがあるんです。これはカットになったシーンの話なのですが、2人がすごく親密なムードになる場面を撮影したときに、キアヌが異常にぎこちなくなってしまいました。そして、その様子はとてもチャーミングだったんです(笑)。実際はハグをするシーンなのですが、ちょっとキアヌにはデモンストレーションをしなければならないような感じになり、デモンストレーションを見せてあげました。そのときのキアヌはすごくスイートでした。だけど、そのことをたぶんレニーは今でも気がついていないと思います(笑)
Q:被告人の少年マイクを演じた新人のガブリエル・バッソはいかがでしたか?
A:ガブリエルは、彼の持っているリアルさが決め手にはなりました。実際の彼は演技だけではなくサッカーも大好きな少年で、私と役のことで電話をしているときもサ、最後はサッカーの話で終わっていることが多かったです(笑)。そういう子供らしさというのをリアルに感じました。マイクは10代の普通の学生なのに、急に裁判の場に容疑者としていなければならなくなるというキャラクターですから、そこにいるのが不自然なくらいリアルなティーンエイジャーの雰囲気が必要で、ガブリエルはそれを持っているので彼をキャスティングしました。
Q:助手のジャネルを演じたググ・ンバータ=ローのキャスティングの経緯は?
A:ジャネルの役はアフリカ系アメリカ人という設定でした。ググに関しては、彼女が出演した前作も観ましたし、実際にお会いしてアクセントも完璧だったんですが、彼女はイギリス人だったんです。私はやはりアメリカ人ということにこだわりたくて、LAでもオーディションをおこないました。すると、またググが来たんです。「え、また来たの?」と言ったんですが、彼女は絶対この役をやるんだと自分の中で決めていて、私を説得するつもりで来たんです。彼女を見たときに、ジャネルはここにいるじゃないか、探すまでもない、と自分の中でもわかって彼女に演じてもらったんです。彼女に関しては、演技がうますぎるというのがもしかしたらあだになっていて、オーディションでも見逃されがちなタイプなのかもしれません。しかし、すごい演技力があって完璧なプロフェッショナルなのです。
Q:撮影期間と撮影時期を教えてください。
A:撮影期間は24日間でした。『フローズン・リバー』のときもそうでしたが、短い期間での撮影でした。撮影時期は2014年の7月にニューオーリンズでおこないました。
Q:プロダクションデザインについて教えてください
A:法廷は本物の裁判所ではないですが、大きな部屋に、美術さんが1からセットを作り上げました。自分たちがニューオーリンズで訪れたクラシカルな古くて美しい法廷がデザインのベースになっています。自分の経験から、セット作りにも積極的にコミットしました。また、実際に法廷で働いていたり、かつて働いた経験のあるスタッフたちも、美術スタッフとして参加してもらいました。テレビの法廷のように見えないよう、色彩を抑えて作ることにこだわりました。
Q:物語の舞台は南部ですが、監督も南部出身ということでこだわった点は?
A:南部が舞台ということはすごく意識しました。最初、ニューヨークを舞台にするか、南部を舞台にするか選択肢が与えられていましたが、私が南部を選びました。南部ではすごく家族を大切にする文化があり、暖かい気候というのも人々に温かみをもたらしてくれています。だからこそ、南部の人はその温かみの下の奥深いところに秘密を隠してしまうと思うんです。それは、テネシー・ウィリアムズをはじめとした、たくさんの著者が著作の中で触れていることでもあります。
監督 コートニー・ハント
1964年アメリカ生まれ。自ら手掛けた短編版を劇場長編と昇華した意欲作『フローズン・リバー』で2008年のサンダンス映画祭グランプリ、アカデミー賞オリジナル脚本賞にノミネートされ、一躍世界から注目された女性監督。本作が長編第二作にあたる。
STORY
巨額の資産を持つ大物弁護士が自宅で殺害された。容疑者として逮捕されたのは、17歳の息子。拘留後、完全黙秘を続ける少年の弁護を引き受けたのは、敏腕弁護士ラムゼイ。何も語ろうとしない被告人をよそに開廷された裁判では、全ての証人が少年の有罪を裏付ける証言をする。その証言のわずかなほころびから、「嘘」を見破るラムゼイ。有罪確定に見えた裁判の流れが変わり始めた矢先、被告人が沈黙を破り、衝撃の告白をはじめる。彼が語る言葉は、果たして真実なのか?そして、事件の真犯人は別に存在するのか-?
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『砂上の法廷』
配給:ギャガ
gaga.ne.jp/sajou
3/25(金)TOHOシネマズ シャンテ他 全国順次ロードショー