「ハムナプトラ」のブレンダン・フレイザー 激太り、仕事激減からオスカー獲得を有力視されるまで

ブレンダン・フレイザー(53)主演の映画『The Whale (原題)』のトレイラーが11月8日に公開。公開から8日間で490万回以上の再生を記録しています。

Newscom/Zeta Image

この映画でブレンダンは、病的な肥満を抱えて生きる英語教師を演じるためにファット・スーツを着用。その変わりようも話題となりましたが、「Daily Mail」は同作で、長らく低迷していた彼の俳優としてのキャリアが返り咲いたと報じました。

◆性的虐待の男性被害者に

「ハムナプトラ」シリーズで一世を風靡したブレンダンでしたが、いつの間にか第一線から退いた元スターという位置づけに。その理由が明らかになったのは2018年のことでした。

彼は自分がハリウッドの性的虐待の男性被害者であることを米誌『GQ』のインタビューで明らかにしたのです。

2003年の夏、名声の絶頂にあった34歳のブレンダンは、ビバリーヒルズ・ホテルで開かれたHFPA(ハリウッド外国人記者協会)の昼食会に出席。その際、同協会の前会長であるフィリップ・バークに声をかけられ、握手をした後、ヒップをつねられたのだそう。

当時70歳だったフィリップは、軽いノリでつねったと主張。しかし、ブレンダンが米誌『GQ』に語ったところによると、それは冗談ではなかったといいます。親密に触れられ、「指を動かし始めた」と生々しく当時の状況を明かしました。

ブレンダンは、パニックと恐怖に圧倒され、最終的にフィリップから手を離したのだそう。「気分が悪くなった。まるで子供のような気分だった。泣きそうになった」

フィリップを公に非難することも考えたというブレンダンですが、この犯罪が「自分の物語の一部」となってしまうことを望まなかったため、彼の代理人は、HFPAに謝罪文を要求。

フィリップは同誌に対し、ブレンダンの証言は「全くのでっち上げ」と主張。HFPAは調査を行い、「フレイザー氏が経験したことは不適切だった」と結論づけましたが、お尻を触わったのは冗談のつもりで、性的な誘惑ではなかったとしました。

◆ファンが復帰の嘆願書を

ブレンダンは被害にあったことで落ち込み、引きこもり気分になったといいます。俳優の仕事が減ってくると、ゴールデン・グローブ賞の運営団体であるHFPAが自分をブラックリストに載せているのではと思ったのだとか。フィリップ・バークを告発した後、関連イベントにはほとんど呼ばれなくなったそうです。

プライベートでも彼の不調は続きます。3人の子供をもうけた女優のアフトン・スミス(54)と2008年に離婚。2013年には、裁判所から命じられていた養育費年間79万ポンド(約1億3千万円)を払えなくなったとして、減額を要求しました。

2016年、母キャロルさんが癌で亡くなったことが、さらなる打撃をブレンダンに与えます。キャリアがますます低迷してしまったのです。彼のファンは、復活を願い、ハリウッドに対して『今後予定されている番組/映画にブレンダンを考慮してほしい』と呼びかける嘆願書を送った人もいたほど。なんと嘆願書には約46,000人もの署名が寄せられたのだとか。

◆有名監督とのタッグで第一線に返り咲く

「ハムナプトラ」シリーズのような軽快な冒険映画が、スーパーヒーロー映画に押され気味になっていたことも彼のキャリア衰退の原因のひとつでした。

そんななか、『GQ』での告白は、いいタイミングでした。その数カ月前、複数の女性への性犯罪の疑惑が噴出し、ハーヴェイ・ワインスタインが失脚。ハリウッドでは声をあげる俳優やスタッフが続出し、それは#MeTooのムーブメントへの大きな流れとなります。ブレンダンのインタビューも大きな注目を集めました。

その後、ブレンダンは俳優の活動が上向きます。スティーブン・ソダーバーグ監督は、2021年のスリラー映画『クライム・ゲーム』で彼をアンサンブルキャストに起用し、高く評価。マーティン・スコセッシ監督は、近日公開の西部劇犯罪ドラマ『Killers Of The Flower Moon(原題)』でロバート・デ・ニーロやレオナルド・ディカプリオとともに弁護士役として起用しました。

そして、ダーレン・アロノフスキー監督の『The Whale (原題)』。「ハムナプトラ」シリーズでのアクションスターのイメージとは異なるボディになったブレンダンですが、結果として手に入れたのが本作への主演。ファットスーツを着用しているものの、もともとのボディも巨漢のため、かなり自然な仕上がりです。

『The Whale (原題)』での演技は、9月に開催されたヴェネツィア国際映画祭でも観客が6分間スタンディングオベーションをおくったほど。オスカー受賞への期待が高まります。

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