エリザベス・モス怪演! 幻想的な映像美『Shirley シャーリイ』本編! 監督インタビューも!!

世界各国の映画祭で高く評価された『Madeline’s Madeline(原題)』(2018)やA24とApple TV+が共同制作した『空はどこにでも』(2022)などで知られ、いま最も注目を集めている奇才ジョセフィン・デッカー。

彼女の初長編『Butter on the Latch』(2013)に惚れ込んだという巨匠マーティン・スコセッシが製作総指揮に名乗りをあげ、2020年のサンダンス映画祭でUSドラマ部門審査員特別賞を受賞した長編第4作『Shirley シャーリイ』<7/5(金)公開>。 

破壊されることで自身の再構築、出発へ向かう2人の女性の<はじまりの瞬間>を、シャーリイ・ジャクスンの小説の中に入り込んだような映像美で捉えた本編特別映像、およびジョセフィン・デッカー監督が本作への挑戦を語ったインタビューが解禁された。

ともに暮らすようになったものの、気難しいシャーリイとの距離感を測りかねていたローズ。だがある日、彼女の書斎を訪問、不器用ながらも自身の出産について気遣いを見せる彼女に戸惑いを感じつつも、少しずつ警戒心は解けていく。そんな中、実はシャーリイも、ローズと対峙することで執筆のインスピレーションが刺激される感覚に襲われていたー。全く違う境遇の2人が出会い、対話することで徐々に影響を与え合う。自身が破壊されることで、再構築、出発へ向かう2人の<はじまりの瞬間>をまるでシャーリイ・ジャクスンの小説の中に入り込んだような幻想的な映像美と共に映し出されたものとなっている。

「<シャーリイ・ジャクスンの小説>のように感じさせたかった」ー本作での<挑戦>を振り返るジョセフィン・デッカー監督。「シャーリイの心の中の世界は外の世界と分かちがたいように作られているんです。つまり、いくつもの層が折り重なっている。ナプキンが落ちて、スプーンがフォークになったり、それが幽霊になったり」。そのため「全てを現実的にするのではなく、謎の部分は謎のまま残した」「映画が、シャーリイの心の中と同じくらいミステリアスなものになるよう、今まで得てきた映画の知識を超えた未体験の領域で映画を作ってきた」と述懐する。

ウィットや相互依存、“人を操って喜ぶ”

脚本を手がけたサラ・ガビンズについても「さまざまな世界が同居するすばらしい脚本を書いてくれた。シャーリイの家の世界は外の世界とまるで違う」と、絶賛を送る。

特に、シャーリイとその夫スタンリー、ユニークな関係性の描写について「劇中の2人にはウィットや相互依存、“人を操って喜ぶ”という特徴があって、それが私たちの物語を醸成させていった。現実世界の<シャーリイとスタンリー>はとても開かれた関係でありながら心をむしばみ合う関係でもあったんです。だからある意味、脚本のサラが書いた物語は虐待の過程を描いたもので、いかに自己破壊が<成功>を装っているのかを示した物語でもある」と言及。

そして、シャーリイとローズ、自分の心身をケアできないほど自身の仕事に没入し過ぎてしまう2人の姿をあげて「これは成長途中の小説家(シャーリイ)に、成長途中の主婦(ローズ)に当てはまる。引っ越してきたローズとシャーリイは影響を与え合い、破壊し合い、再構築し合い、創造し合い、脱却し合う。2人は互いの強迫観念を糧にしている。どのように崩壊していき、その崩壊を本当の自分への足がかりにするのか?」―観る人への問いを投げかける。

本作は、スティーヴン・キングも影響も受けたと言われるゴシック作家シャーリイ・ジャクスンの伝記に、現代的で斬新な解釈を加えて練り上げられた、想像力とダイナミズムに満ちた心理サスペンス。彼女の小説だけでなく、配偶者で文芸評論家でもあったスタンリーとの数百通の手紙をもとに制作されている。

また、作家自身のキャラクターを描きながら、まるでジャクスンの小説世界に迷い込んだかのような、幻惑的な映像を作り上げた。デッカー監督は、シャーリイ・ジャクスンについて「ある批評家か伝記作家が<シャーリイは政治的な作家ではない>と指摘していたが、しかしシャーリイは私的なレベルにとどまりつつ政治を意識していたと思っている」と語る。

そして「だからこそ彼女の作品は今でも響き続けるのだ。彼女の作品は非常に人間的だから時代を超えて読まれている。シャーリイは非日常的な設定、心理描写、あるいは潜在意識に訴える巧みなリズムを使って人種差別、階級差別、性差別と闘っていたのだ」とその魅力についてコメント。

日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すのがシャーリイの小説の特徴

脚本を手がけたサラ・ガビンズは長年、文学とかけ離れたホラー作家として扱われてきたシャーリイ・ジャクスンについて異議を唱える。「彼女は数多くの短編や長編を残したが、ホラー作品によくある吸血鬼やゾンビや幽霊や神話上の怪物は登場しない。その代わり日常のありふれた風景の中に恐怖を見出すのがシャーリイの小説の特徴でもある。<人間こそ恐ろしい怪物であり、私たち自身の精神が血に飢えた悪魔的な妖怪であり、私たちの社会はのどかなパーティーを楽しみつつ石打ちの刑にも加われる気まぐれな人々の集まりである>」と述べている。

シャーリイを演じたのは『透明人間』『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』などで知られるエリザベス・モス。ほか、『シェイプ・オブ・ウォーター』『君の名前で僕を呼んで』などに出演、名バイブレーヤーとしても評価の高いマイケル・スタールバーグ、オデッサ・ヤング(『グッバイ!リチャード』)、ローガン・ラーマン(『ウォールフラワー』『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』)ら、一流キャストが集結!「美しい傑作」(AwardsWatch)、「心を掴んで離さない」(The Playlist)、「甘美で官能的」(The Hollywood Reporter)「夢の世界へ誘う。エリザベス・モスの驚異的な演技」(/Film)など、すでに海外では絶賛が相次ぐ本作を作り上げた。

『Shirley シャーリイ』
7月5日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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